LSIなどの半導体製品に多用されるレーザー刻印であるが、低照度下だと非常に見づらくデバッグや試験時の妨げになることがある。 これを電子部品や回路に影響を与えず、簡易に見やすさを改善できないかといくつかの非導電性顔料を擦り込んで刻印を見易くすることを試みた。
注。このページに掲載の写真は全て、反射を抑えるために円偏光フィルターを使って撮影している。
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Aluminum oxide (Al2O3), Baikowski, Baikalox 0.05 CR
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Silicon carbide, SiC, Niigataseiki, GC #30000
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Chromium(III) oxide (Cr2O3)
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砥の粉(Natural pigments — Mixture of; SiO2 (70˜80 mass%), Al2O3 (10˜20 mass%), Fe2O3 (1˜5 mass%) and residue (5˜10 mass%))
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Farber-Castell, Soft pastel 101
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Farber-Castell, Polychromos pastel 9286-139
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Farber-Castell, Polychromos pastel 9286-102
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Farber-Castell, Polychromos pastel 9286-101
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Sakura, Cray-pas #50
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Sakura, Nouvel Carré Pastel #001
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吉祥, 顔彩 銀
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吉祥, 顔彩 金
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Liquitex, Acrylic regular type 0071 iridescent white
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Liquitex, Acrylic regular type 0065 titanium white
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Pentel, ペン修正液 極細
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信越シリコーン, G-747 相当品
何れもキムワイプやワイピングクロス等での拭き取りは必要。
- 画材として定評のあるパステルは緻密で顔料の比率が高く、総じて綺麗に読みやすくなった。逆に LSI のレーザー刻印 によるパステルの発色評価が出来ると言っても良いくらい。
- つなぎの多いクレパスや掲載はないが色鉛筆は使い物にならなかった。
- 研磨剤は残り易さでは炭化ケイ素粉、コントラストではアルミナ粉が良かった。
- 顔彩では銀だけが良く、金や掲載はないが白や赤も良くなかった。
- アクリル絵の具は Liqutex のパールホワイトがとても良かった。同じくチタニウムホワイトは読みやすくはなるもののやや薄汚れた感じになった。
- 修正液は入手性は良いがキシレン等の有機溶剤を含み、拭き取りにも有機溶剤が必要なため電子部品には不向きかもしれない。仕上がりも全体的に薄汚れた感じになる。
- 放熱用シリコーンコンパウンドは電子回路用であるため安心感はあるものの、フィラーの粒度が荒く密度も低く見やすくなるとは言えず。
筆者の好みだけで言えば Liquitex のアクリル絵の具レギュラータイプ 0071 パールホワイト。写真だと分かりにくいけどキラキラして綺麗。
でもパールホワイトは刻印の文字が小さいとキラキラしてかえって見えにくくなるので、お勧めは同じシリーズの Liquitex チタニウムホワイト。やや薄汚れた感じは残るけど安価だし細かい文字までくっきり。
レーザー刻印が埋まる程度に薄く塗って、生乾きのときに一度拭い、乾燥してから消毒用エタノール液IPで表面を拭き取ると具合が良かった。
レーザー刻印が小さく地が比較的平滑な場合には両頭の綿棒の片側で薄く塗って、もう片側で拭い取る程度で十分だった。
その時限りかつ粉を気にしなくてよければ、ファーバーカステルのソフトパステル 101 白が、刷り込んでエアで吹き飛ばして残りを拭う程度で良くて手軽だった。アクリル絵の具のパールホワイトを入れたレーザー刻印と白文字印刷との比較 (intel : パールホワイト, ALTERA : 白文字印刷)
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顔料の効果をテストするためのレーザーマークがあるデバイスは、以下の通り: PCB上のU1、U2、U5、U6、U9、ISO1、ISO2
下の写真も、PLフィルターを使って撮影している。
リキテックス・チタニウムホワイトで処理したもの(左)V.S. 何も処理しないもの(右)
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