反射型アッテネータ

ブランチライン型3dBハイブリッド(note1)を応用した反射型アッテネータの概略構成図を fig.1 に示す。 バイアス回路等は図示されていない。fig.1 中の Z1 = Z0 / √2 である。
P1 からの入力電力は、P3, P4 点に分配されるが、P3, P4 点でインピーダンスの不整合があった場合に P3, P4 点のインピーダンスが同じであれば反射電力は全て P2 に出力される。 このことを利用し P3, P4 点に可変インピーダンス素子を接続し、アッテネータや移相器を構成することが行われている。
可変抵抗素子(PIN ダイオード等)を利用するとこの回路は反射型アッテネータとして機能し、
可変リアクタンス素子(可変容量ダイオード等)を利用すると、反射型移相器として機能する。
終端抵抗と PIN ダイオードの並列回路で反射型アッテネータを構成した場合の利点は、 減衰させる電力の大部分を終端抵抗が受け持つ ことになるため、比較的小型の PIN ダイオードが使用できるのと、 PIN ダイオードによる歪みの発生を少なく押さえる事が出来る点である。

[ fig.1 ]

中心周波数において、減衰量 Att は

Att = 20 log | ( Z0 - Zx ) / ( Z0 + Zx) |

で表される。ここで、Zx は PIN ダイオードの動作インピーダンスと終端抵抗との並列合成抵抗である。
Zx = Zd // Rt

PIN ダイオードの動作抵抗を Rd として、動作インピーダンス Zd は、 およそ次式で表される。(fig.2 参照)

Zd = 1 / ( 1 / ( Rs + Rd ) + 1 / Rp - j Cp ) + j Ls

[ fig.2 ]

実際例として、PIN ダイオードに東芝の 1SV128A を 430 MHz 帯で使用した場合の測定値と、

Rs = 800 [mΩ], Rd = 0.018 / IF [Ω/mA], Rp = 1.7 [kΩ], Cp = 100 [fF], Ls = 800 [pH], ZT = 51 [Ω]

として近似した場合の計算値とのグラフを fig.3 に示す。
gnuplot plot file
+ 測定値
- 計算値
- 挿入損失
[ fig.3 ]


Note1: ハイブリッド回路は fig.4 のように集中定数ででも実現できる。
hybrid[ fig. 4]
Z0 = L = 1 / jω C0
C0 = 2 C + Cs | Cs は線間容量

Note2: ハイブリッド回路を1/4λ線路で構成すると大きくなりすぎる場合には、 帯域幅を犠牲にして分布定数回路とチップコンデンサにより小型化できる。 素子感度は高めであるので注意を要する。
hybrid[fig.5]
Z1 = 2 Z0, 21.0deg
Z2 = 2 Z0, 31.0deg
C = 2 / Z0
Keywords: ブランチラインカップラ、90°ハイブリッド、PIN ダイオード
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