・特許公報 特許第5979649号 [Download 24kB pdf] モータ駆動装置
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冗長設計の本質は、他に比べて故障率の高い部分を多重化することにより同時に故障す る確率を下げ、信頼性を向上させることにあります。利便性なども含んで冗長化の費用 が故障により発生する費用より少なければ冗長系を採用する価値があります。また、外 乱への耐性向上や故障の検知を併せてシステムの信頼性を向上させ、人的物的被害を避 け、ひいては会社とその製品に対する顧客の信頼を維持、向上させ、長期的な利益の向 上にも繋がります。また、故障検知の誤作動による損失を防ぐ観点からは、故障検知系 の信頼性も重要であることに留意する必要があります。
パワーモーターの制御において、「順転、逆転、制動、空転」の4状態を2ビットの制 御信号を信号ケーブルで伝送している場合を例に取ります。仮にモーター運転中に、 ケーブルの信号線の断線や短絡等、酸化や硫化による接続コネクタの接触不良が発生し て、モーター制御が順転から逆転にいきなり変わったとするとモーターの破壊や焼損、 モーターで動かされているものの破壊や飛散を招くといった事態が起こりえます。この ような箇所では制御信号の冗長化に加え、時間軸でのフィルタリングや状況のモニタリ ングを行うことが望ましいです。
弊社では長年の列車制御や製造産業関連の設計・開発で培った高信頼インターフェース のノウハウが蓄積されています。それを元に以下に述べるパワーモータードライバイン ターフェースをご提案致します。 誤り検知のフィードバックには部品要素として最も壊れにくいものの一つである電線と 温度測定用抵抗を用いています。
誤り訂正符号を応用した誤り訂正・検出を備えた制御信号とモニター信号を備 え、
伝送誤り検出・訂正回路と測温抵抗を備え、温度計測信号線を断線や短絡 検知を備えた、
上記誤り検知信号線に用いることを特徴とする、モータードライ バインターフェース。
システムブロック図を図1に示します。
(5,2)誤り訂正符号のエンコード論理式を式1に示します。
式1 (5,2)誤り訂正符号のエンコード論理式
c[4..0] = (d1, d0, !d1, d0 $ d1, !d0);
- マイクロコントローラ内部の2ビットの制御信号は式1の(5,2)誤り訂正符号にエンコードされて内蔵 PIOから出力されます。この符号では1ビットの誤り訂正と信号ケーブル外れ及び制御符号の検出が可能です。マイクロコントローラ内部で符号化することにより内蔵PIOの出力端子の故障も誤りとして検知することが可能です。
- 制御符号はケーブルドライバ、信号ケーブル、入力保護フィルタ、デジタルデグリッチ、誤り検出訂正を経てモータードライバの制御信号となります。
- モータードライバの温度測定箇所の温度は測温抵抗により検知されモニター信号となり、信号ケーブルを経てマイクロコントローラ内蔵のADCによりモニターされます。
- モニター信号をADCで変換した値は、通常時は決められた温度範囲に対して対応する値の範囲であるが、ケーブルの断線や短絡によってそれに相当する最大値や最小値近辺の異常値になるので、モニター信号の異常を検知できます。
- 誤り検出訂正に於いて誤りが検知された場合には誤り検出信号がアサートされます。
- 誤り検出時には、あらかじめ決めてある安全側にモータードライバを設定します。
- 誤り検出時には、測定温度抵抗に並列または直列に接続されたアナログ・スイッチを接続状態に切り替えます。これにより、マイクロコントローラ側では、誤りが発生したことを、ADCで変換した値のある範囲の異常値として知ることができます。
- 誤り検出により警告灯の点灯を行います。
- 温度異常時などに、マイクロコントローラから制御信号として誤り検出が行われる符号を出力することにより、モータードライバ側を予め決めてある安全側に設定し警告灯を点灯することが出来ます。
従来のモータードライバインターフェースに、上述のシステムを構成する簡単かつ比較的安価な回路を追加することにより広範囲の異常に対処しうる、より安全なシステムを構成することが出来ます。