昔、私がまだ若かった頃。マイクロ波の実験が楽しくてたまらなかった頃の話。
回路のキャビティー(共振器)の損失を減らしてQを上げようと銀メッキを施すことを考えた。
まず、下地に、銅合金に銅メッキ。これは簡単。硫酸銅水溶液でできる。
メッキしたての銅の色はとっても綺麗なベビーピンク。始めて見た時にはその色に感動した。
ところが、銅に銀をメッキする時に、硝酸銀だと銅とのイオン化傾向の差が大きすぎて、
析出はするけれども、緻密な綺麗なメッキにはならない。
銀鏡反応でおなじみのアンモニア性硝酸銀を作って試して見た。 まぁまぁな感じだけどメッキ厚はとれないしピンホールだらけ。 あんまりよくない。 貴金属屋さんに行って歯科材料の練習用の純銀板を買って来る。 ちょっとの留守の間に近所の野良猫が浸入し硝酸で自爆してた。 猫の手当と事故処理をして、猫は逃してやる。 この日から、ちょっと猫には気を付けようと思うようになる。 電極を取りつけ、ちょっとドキドキしながら同じ溶液で電解メッキを行ってみる。 電流密度を色々変えてやってみるけど、やっぱりいまいち良くない。 色々と試している間にメッキ槽が乾燥して出来た、 硝酸アンモニア銀の化合物がちょっと爆発したりしたので方針を変える事にする。
「やっぱり、正統派にシアン化物かぁ。」
簡単にはシアン化カリウムとか買えないので、
肥料の材料の石灰窒素と、炭素を買って来て、
薬局で、塩化カリウムとアンモニアを買って、作ることにした。
ガラス管の中に材料を入れ、アンモニア雰囲気で熱してやればできるはず。
ガラス管の出口からシアン化水素キャプチャ槽を2段で組んで、
1段めは密閉型2段目は開放型にした。準備も整い、合成を始めてしばらくしたら、
「ん?これは、噂に聞くアーモンドの香り…」加熱を停止しつつ、キャプチャ槽に水酸化ナトリウムを投げ込みつつ、窓を全開、換気しつつ、 逃げる。青酸は炭酸より弱い酸、強アルカリにしておかないととっても危険。
「しまったぁぁ〜!キャプチャ槽に水酸化ナトリウム入れ忘れた〜!」