※ F0114A の製作キットで使用している筐体が筐体メーカーで2024年廃盤予定となったため、完成品及び製作キットの提供は終了しました。
F0114A はデジタルマルチメーターよりも直感的な、音で判るインサーキット導通チェッカです。 元々は実用を兼ねてフレッシャーズ向けのはんだ付けの練習と電子回路の初歩として設計したものです。 一見簡単に見える回路でも、「アナログ回路設計には幅広い知識と応用と実践が必要」という例になっていて、 電子回路設計に携わるエンジニアの育成用教材となるように考慮してあります。
- 音程で、約 100 Ω ~ 10 MΩ の違いがわかります
- 音程の下がる時間で 1 μF ~ 100 μF のキャパシタの違いがわかります
- 導通に対して即座に音が出るため多ピン中の違いも素早く判別できます
- Si 接合ダイオードの順方向ではほとんど電流が流れないため実装回路中で使用可能です
- SiSB ダイオードの順方向では部品により流れる電流が異なるため音で違いがわかります
- 導電スポンジの導電性や酸化皮膜での接触不良などの確認もできます
- 低測定電流 5 μA 以下(RDUT ≤ 10 Ω, 常温)で被測定回路に悪影響を与えにくいです
- 低測定電圧 300 mV 以下(RDUT ≤ 10 MΩ, 常温) で被測定回路に悪影響を与えにくいです
- 高信頼、低消費電流で電源スイッチなしで長期間に渡って即座に使用できます
■ 電池は+-を逆に入れない
■ 端子間に 5 V を超える電圧を加えない
🚫 守らないと破裂、発火、故障の原因となります。
回路解説では理工系のフレッシャーズ向きの解説を行っています。 コラムでは回路設計に携わるエンジニアの実務寄りの解説を行っています。 回路解説中の回路は LTSPICE 等でシミュレートできるようになっているため、 発展的にアナログ回路シミュレータの使い方を学ぶことができます。 併せて、シミュレーションと本書に付属の実際の回路を測定した場合との違いを考察などで、 実験や測定、あるいはモデリングのセンスを磨いていくことも可能です。
fig.1 [回路図]
DUT(Device Under Test, 被検体)は、fig.1 中 T+, T- 間に接続されてテストされます。 R1 で決められている電流が Q1 と DUT によるワイドラー型電流源 (Widlar current source) 回路により、 DUT のコンダクタンスに合わせて Q1 のコレクタ電流に変換されます。 Q1 のコレクタ電流は C1 により積分され CI 点の電圧となります。 CI 点の電圧が U1A の上昇入力閾電圧 VT- を下回ると U1A の出力が High レベルになり、 C1 は Q2, R4 により放電されます。 CI 点の電圧が U1A の下降入力閾電圧 VT+ を超えると U1A の出力が Low レベルになり C1 の放電は停止します。 この繰り返しにより、DUT のコンダクタンスに応じた周波数で U1A は発振します。 U1A の出力は U1F による反転出力と合わせて、差動信号 {NL, NH} となります。 D2 は U1A が発振動作をしているときに点灯する LED インジケータです。 差動信号は出力バッファ U1E, U1D, U1B, U1C と R5, R6, R7, R8 を経て差動出力信号となり、 C4 で直流分を阻止した上で圧電サウンダ PZ1 を駆動します。
fig.2 は fig.1 のコンダクタンス–電流変換のために使用しているワイドラー型電流源回路の解説用回路図です。fig.1 での T+ と T- 間に 10 kΩ の抵抗が接続された場合を例にとっています。
fig.2 [カレントミラーと積分キャパシタ]
…中略…
絶対最大定格
動作温度 : -10 ~ 60 [°C] (凍結や結露の無いこと) 保存温度 : -10 ~ 80 [°C] (凍結や結露の無いこと) 電源電圧 : -0.5 ~ +6.0 [V] 入力電圧 : -6.0 ~ +6.0 [V] 推奨動作条件
動作温度 : +5 ~ +35 [°C] 相対湿度 : 45 ~ 85 [%] (結露の無いこと) 電源電圧 : +2.2 ~ +3.3[V] 入力電圧 : -0.3 ~ +0.3 [V] ブザー及び LED 表示
導通時 : ブザー鳴動と共に LED 点灯(点滅) 非導通時 : ブザー鳴動せず LED 消灯 負電圧印加時 : ブザー鳴動せず LED 点灯 電源
単4形アルカリ電池(LR03) ×2本 または
単4形ニッケル水素電池 (HR-4UTG, BK-4MCC) ×2本 または
CR2032 コイン型リチウム電池 ×1枚 (BH1 オプション実装時)
問1: fig.1 の回路では、Q1 に NPN のペアトランジスタを用いていますが、これが2個の個別のトランジスタであった場合にはどのような問題が考えられますか。 本文中の式を参照して説明しなさい。
…以下略…