Electronic circuit design engineer training course (1) F0114A in-circuit continuity checker - Circuit and design details (c) Takayuki HOSODA


電子回路設計技術者育成講座 (1)
F0114A - 音で判る導通チェッカ
回路設計詳説
有限会社ファインチューン 細田 隆之

f0114A internals

※ F0114A の製作キットで使用している筐体が筐体メーカーで2024年廃盤予定となったため、完成品及び製作キットの提供は終了しました。

概要

 F0114A はデジタルマルチメーターよりも直感的な、音で判るインサーキット導通チェッカです。 元々は実用を兼ねてフレッシャーズ向けのはんだ付けの練習と電子回路の初歩として設計したものです。 一見簡単に見える回路でも、「アナログ回路設計には幅広い知識と応用と実践が必要」という例になっていて、 電子回路設計に携わるエンジニアの育成用教材となるように考慮してあります。

特徴

⚠ 注意

■ 電池は+-を逆に入れない
■ 端子間に 5 V を超える電圧を加えない
🚫 守らないと破裂、発火、故障の原因となります。

解説

 回路解説では理工系のフレッシャーズ向きの解説を行っています。 コラムでは回路設計に携わるエンジニアの実務寄りの解説を行っています。 回路解説中の回路は LTSPICE 等でシミュレートできるようになっているため、 発展的にアナログ回路シミュレータの使い方を学ぶことができます。 併せて、シミュレーションと本書に付属の実際の回路を測定した場合との違いを考察などで、 実験や測定、あるいはモデリングのセンスを磨いていくことも可能です。

回路解説

  1. 略号
  2. 回路図
  3. あらまし
  4. 抵抗–電流変換
    カレントミラー
  5. 電流制御発振器 (ICO)
    シュミット・トリガ
    ・ヒステリシス
  6. 電流積分
    ・積分キャパシタ
    ・充電時
    ・放電時
    ・発振周波数
  7. 抵抗以外の DUT
    DUT が短絡の場合
    DUT がキャパシタの場合
    DUT がダイオードの場合
    DUT が電圧源の場合
    DUT が開放の場合
  8. 入力保護
    保護素子
  9. 圧電サウンダ駆動回路
    出力バッファ
    出力保護抵抗
    直流阻止キャパシタ
  10. LED駆動回路
  11. 電源(電池)
    消費電流
    電源供給
    ・保護
    ・デカップリング
    ・電源用大容量 MLCC
    電池寿命
  12. プリント回路基板
  13. 仕様
  14. 演習問題
  15. Appendix 1 部品の特性と定格(抜粋)
  16. Appendix 2 数学公式と変換表(抜粋)

コラム


1. 略号

BJT : Bipolar Junction Transistor, バイポーラ接合トランジスタ
CMOS : Complementary Metal-Oxide-Semiconductor (Field-Effect Transistor)
DUT : Device Under Test, テストされるデバイス
FET : Field-Effect Transistor, 電界効果トランジスタ
HCMOS : "high-speed" CMOS, 高速 CMOS
hFE : エミッタ接地直流電流増幅率
JFET : (Silicon) Junction Field-Effect Transistor, 接合型電界効果トランジスタ
MOSFET : Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor, 金属-酸化物-半導体 電界効果トランジスタ
MLCC : Multi-Layer Ceramic Capacitor, 積層セラミックキャパシタ
SiSBD : Silicon Schottky Barrier Diode, シリコンショットキーバリアダイオード

2. 回路図

fig.1 [回路図]
f0114a circuit schematic

3. あらまし

 DUT(Device Under Test, 被検体)は、fig.1 中 T+, T- 間に接続されてテストされます。 R1 で決められている電流が Q1 と DUT によるワイドラー型電流源 (Widlar current source) 回路により、 DUT のコンダクタンスに合わせて Q1 のコレクタ電流に変換されます。 Q1 のコレクタ電流は C1 により積分され CI 点の電圧となります。 CI 点の電圧が U1A の上昇入力閾電圧 VT- を下回ると U1A の出力が High レベルになり、 C1 は Q2, R4 により放電されます。 CI 点の電圧が U1A の下降入力閾電圧 VT+ を超えると U1A の出力が Low レベルになり C1 の放電は停止します。 この繰り返しにより、DUT のコンダクタンスに応じた周波数で U1A は発振します。 U1A の出力は U1F による反転出力と合わせて、差動信号 {NL, NH} となります。 D2 は U1A が発振動作をしているときに点灯する LED インジケータです。 差動信号は出力バッファ U1E, U1D, U1B, U1C と R5, R6, R7, R8 を経て差動出力信号となり、 C4 で直流分を阻止した上で圧電サウンダ PZ1 を駆動します。

4. 抵抗–電流変換

 fig.2 は fig.1 のコンダクタンス–電流変換のために使用しているワイドラー型電流源回路の解説用回路図です。fig.1 での T+ と T- 間に 10 kΩ の抵抗が接続された場合を例にとっています。

fig.2 [カレントミラーと積分キャパシタ]
current mirror

…中略…

13. 仕様

絶対最大定格

動作温度: -10 ~ 60 [°C] (凍結や結露の無いこと)
保存温度: -10 ~ 80 [°C] (凍結や結露の無いこと)
電源電圧: -0.5 ~ +6.0 [V]
入力電圧: -6.0 ~ +6.0 [V]

推奨動作条件

動作温度: +5 ~ +35 [°C] 
相対湿度:   45 ~ 85 [%] (結露の無いこと)
電源電圧: +2.2 ~ +3.3[V]
入力電圧: -0.3 ~ +0.3 [V]

ブザー及び LED 表示

導通時:ブザー鳴動と共に LED 点灯(点滅)
非導通時:ブザー鳴動せず LED 消灯
負電圧印加時:ブザー鳴動せず LED 点灯

電源

単4形アルカリ電池(LR03) ×2本 または
単4形ニッケル水素電池 (HR-4UTG, BK-4MCC) ×2本 または
CR2032 コイン型リチウム電池 ×1枚 (BH1 オプション実装時)

14. 演習問題

問1: fig.1 の回路では、Q1 に NPN のペアトランジスタを用いていますが、これが2個の個別のトランジスタであった場合にはどのような問題が考えられますか。 本文中の式を参照して説明しなさい。

…以下略…


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